2025年09月11日
屋根材だけで選んでいませんか?
屋根リフォームの落とし穴
屋根リフォームを検討する際、お客様が最も気にされるのは「屋根材」と「金額」です。
瓦にするか、金属にするか、スレートにするか。
耐久性やデザイン、
そして予算。
この2点は確かに屋根リフォームにおいて大きな比重を占める要素であり、
無視することはできません。
しかし、それだけで判断してしまうのは非常に危険です。
なぜなら、
屋根は「どんな屋根材を選ぶか」だけでなく「誰が、どのように施工するか」
で寿命も安心も大きく変わってしまうからです。

施工品質が家を守る
仮に同じ屋根材を使ったとしても、
経験豊富な職人が正しく施工した場合と、
未熟な施工者が工事した場合とでは、仕上がりや耐久性はまるで違います。
いくら高価で優れた屋根材を選んでも、
施工の質が低ければ本来の性能を発揮できず、
数年で不具合や雨漏りを起こしてしまうこともあります。
では、施工品質を見極めるために、
お客様ができるチェックポイントはどこにあるのでしょうか。
資格の有無を確認する
一つの目安となるのが「資格」です。
屋根業界には大きく分けて「板金系」と「瓦系」の業者があり、
それぞれに専門資格があります。
たとえば「一級建築板金技能士」「瓦屋根工事技士」などです。
こうした資格を持つ技術者が社内に一人もいない会社は、
施工品質への意識が十分でない可能性が高いと言えます。
資格がすべてではありませんが、
少なくとも「基礎的な技術力を担保する目安」にはなります。
工事を依頼する前に、
資格保持者が在籍しているかを確認することをおすすめします。
事業年数と専門性
もう一つ大切なのが、
会社の歴史と専門性です。創業して間もない会社や、
もともと塗装専門だったのに最近になって屋根工事に手を広げた会社などもあります。
もちろん新しい会社が全て悪いわけではありませんが、
施工実績や経験が浅い場合、品質にムラが出やすいのも事実です。
特に屋根工事は、
木造住宅の構造や雨仕舞に精通していないと正しい納まりができません。

屋根を専門に長年取り組んできた会社かどうか、
事業年数や実績を一つの判断基準にしてみると良いでしょう。
屋根専門会社の実態
実は、お客様が直接依頼できる「屋根専門会社」は意外に少数派です。
多くの屋根工事は、工務店やハウスメーカーの下請けとして専門業者が施工しています。
そのため、
消費者の目に見えるのは工務店やリフォーム会社であり、
実際に施工を担う専門職人の存在は表に出にくいのです。
だからこそ「直接屋根専門会社に依頼できるかどうか」は大きなポイントになります。
中間マージンを省けるだけでなく、施工者と直接やりとりできる安心感もあります。
下地材と施工マニュアルの重要性
屋根リフォームでは、
屋根材ばかりに目が行きがちですが、
実は「下地」に使う板金部材や防水処理も非常に重要です。
雨水の侵入を防ぐ谷板金や軒先の水切りなど、
細部の納まりが適切でないと、
いくら高性能な屋根材を使っても雨漏りのリスクは高まります。
さらに、メーカーが定める施工マニュアルに沿って工事がされているかどうかも重要です。
屋根材の保証は「指定通りの施工」が前提になっており、
もし施工が不適切だと「保証の対象外」とされることがあります。
つまり、
どれだけ長期保証がついた屋根材を選んでも、施工や下地が不十分なら保証すら受けられない可能性があるのです。
まとめ:屋根材だけで選ばない
屋根リフォームは「屋根材と金額」で選ぶ方がほとんどですが、
それはあくまで一部に過ぎません。
- 資格を持つ職人がいるか
- 事業年数や専門性があるか
- 下地材や施工マニュアルを守っているか
- 保証が正しく適用される環境を整えているか
こうした点をチェックすることで、
屋根材本来の性能を活かし、長持ちする屋根を実現できます。
屋根は「見えないからこそ、後から差が出る部分」です。
ぜひ屋根材のブランドや価格だけでなく、施工品質や業者の姿勢にまで目を向けて、
安心できるリフォームを選んでください。

この記事を書いた人
成田 崇
- 瓦ぶき2級技能士
- 瓦屋根工事技士
- 瓦屋根診断技士
【趣味】サーフィン・山登り・バックカントリースキー・読書・旅行
〇かわらぶき2級技能士とは?
瓦屋根工事に必要な知識と施工技術を備えていることを証する資格で、瓦職人にとって欠かせない国家資格です。 試験は学科試験と実技試験で構成されており、実技試験では実際に一文字軒瓦または万十軒瓦を使った瓦葺き作業を行い受験者の施工レベルを審査します。
〇瓦屋根工事技士とは?
国土交通大臣が認定する資格で屋根工事に従事する者として必要な瓦屋根についての適正な知識を備えていることを証する資格です。 この資格取得では屋根の施工に関する知識はもちろんのこと、建築に関わる知識、安全に関する知識、法規等、さまざまな知識が求められます。
〇瓦屋根診断技士とは?
国交省所管の公益法人(社)全日本瓦工事業連盟(全瓦連)が高い技術、技能を持つ工事技術者に対してのみ与える資格です。 この資格の取得条件はかわらぶき技能士と瓦屋根工事技士の両方の資格を備えた者となっており、国内の瓦屋根工事技術者における最上位資格といえます。




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