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羽アリとシロアリの見分け方|駆除・予防方法を解説

羽アリとシロアリの見分け方|駆除・予防方法を解説

「ある日突然、家の中に羽のついたアリが大量発生した…」 

「お風呂場や玄関に、見たことのない虫の羽がたくさん落ちている…」

もしご自宅でこのような状況に遭遇したら、多くの方が「この虫は何だろう?」「もしかして、家を食べるというシロアリでは?」と大きな不安に駆られることでしょう。

でも、パニックになるのはまだ早いです。

羽アリには、家に大きな害を与えない「クロアリの羽アリ」と、建物の構造材を蝕む「シロアリの羽アリ」の2種類がいます。正しい知識さえあれば、その違いを正確に見分けることが可能です。

この記事では、屋根や外壁から大切な住まいを守る仕事に携わってきた私たち「いらか」が、建物のプロという専門的な視点から、羽アリとシロアリの見分け方から予防方法まで解説します。

羽アリの発生は、時に雨漏りなど建物の異常が原因となっていることもあります。私たち「いらか」は、屋根・外壁の専門家として、建物の健康状態を無料で診断しております。

羽アリを見つけて少しでも不安な方は、まずはお住まいの状態を正確に把握するため、お気軽にご相談ください。

 

 

羽アリとシロアリはどう違う?見分け方を徹底解説

羽アリ

家の中で羽アリを見つけた時、まずやるべきことはその正体を正確に突き止めることです。ここでは、誰でも簡単にできる羽アリとシロアリの具体的な見分け方を、写真やイラストをイメージしながら徹底的に解説します。

 

羽アリとシロアリの違いの基本|見た目・特徴の比較

シロアリは名前に「アリ」とついていますが、実はゴキブリの仲間に分類される昆虫です。一方、クロアリはハチの仲間。生物学的に全く異なるため、その体には明確な違いが現れます。以下の比較表で、それぞれの特徴を確認してみましょう。

特徴

シロアリの羽アリ

クロアリの羽アリ

胴体

寸胴で、胸と腹の間にくびれがない

胸と腹の間がハチのように細くくびれている

4枚ともほぼ同じ大きさ・同じ形。非常に取れやすく、体の周りに羽だけが落ちていることが多い。

前の羽が後ろの羽より大きい。羽は体にしっかり付いており、簡単には取れない。

触角

数珠(じゅず)のようにつながった直線的な形

「く」の字に折れ曲がった「くの字」の形

黒褐色や茶褐色の種類が多い(「シロアリ」という名前だが白くない)

一般的に黒色や赤茶色

 

この中で最も分かりやすい見分け方のポイントは「胴体のくびれの有無」です。捕まえた虫や、落ちている死骸をよく観察し、胴体が寸胴でずんぐりむっくりしていたら、それはシロアリの可能性が極めて高いと言えます。

 

シロアリとクロアリのチェックポイント

文字だけでは分かりにくい部分も、イラストや写真と見比べれば一目瞭然です。お手元に捕獲した虫や、撮影した写真があれば、以下のチェックポイントと照らし合わせてみてください。

 

チェックポイント1:胴体を見てみよう

虫の胴体を横から見て、胸と腹の境目がはっきりせず、一直線のラインに見えるなら「シロアリ」です。逆にはっきりとくびれが確認できれば「クロアリ」です。

 

チェックポイント2:羽の形と大きさを確認しよう

4枚の羽を広げた時に、すべてが同じような大きさ・形をしていれば「シロアリ」です。前の2枚が明らかに大きい場合は「クロアリ」と判断できます。

また、家の床や窓際に、大量の羽だけが落ちている場合も、羽が取れやすいシロアリの可能性が高いサインです。

 

チェックポイント3:触角の形に注目しよう

触角がまっすぐで、小さな玉が連なったような形をしていれば「シロアリ」、途中でカクンと折れ曲がっていれば「クロアリ」です。

これらのポイントを総合的に見て、一つでもシロアリの特徴に当てはまれば、専門家による調査を検討することをお勧めします。

 

クロアリ・シロアリ・羽アリそれぞれの種類と特徴

そもそも「羽アリ」とはどのような存在なのでしょうか。ここでは、それぞれの虫の生態についてもう少し詳しく解説します。

 

「羽アリ」とは?

「羽アリ」という名前の特定の昆虫がいるわけではありません。「羽アリ」とは、シロアリやクロアリの巣の一部が、春から夏にかけて新しい巣を作るために飛び立つ「繁殖形態」の虫たちの総称です。

巣が成熟し、個体数が増えると、一部の個体が女王アリ・王アリ候補として羽を生やし、新しい定住地を求めて一斉に飛び立ちます。これを「群飛(ぐんぴ)」と呼びます。

 

家屋でよく見る「クロアリ」の種類

クロアリは木材を食べることはありませんが、砂糖などの食べ物を求めて家の中に侵入するため「不快害虫」とされます。

また、クロアリはシロアリを捕食することがあるため、「クロアリがいればシロアリはいない」と思われがちですが、これは間違いです。

クロアリが好むような朽ちた木材がある環境は、シロアリにとっても好都合な環境である可能性があり、注意が必要です。

 

自分でできる羽アリ・シロアリ対策と応急処置法

羽アリ・シロアリ被害の応急処置法

目の前で羽アリが大量発生していると、パニックになり殺虫剤を手に取りたくなる気持ちはよく分かります。しかし、その行動が被害をさらに拡大させてしまう可能性があります。ここでは、プロが推奨する正しい応急処置と、絶対にやってはいけないNG行動を解説します。

 

発生時にまずやるべき対処法|掃除機・スプレー・ポリ袋の活用

目の前にいる羽アリに対しては、以下の方法で冷静に対処してください。

 

【推奨】掃除機で吸い取る

最も手軽で安全、かつ確実な方法です。飛び回っている羽アリや、床を歩いている羽アリを掃除機で吸い取ってしまいましょう。

吸い取った後の紙パックやゴミは、シロアリが這い出てこないよう、すぐにポリ袋に入れて口を固く縛り、燃えるゴミとして処分してください。

 

【推奨】ポリ袋やビニールテープで発生源を塞ぐ

もし、壁の隙間や柱の穴など、羽アリが出てくる場所が特定できる場合は、その穴を塞ぐようにポリ袋をガムテープなどで貼り付け、羽アリを袋の中に誘導して捕獲します。これにより、部屋中に飛び回るのを防ぐことができます。

 

【限定的に可】熱湯をかける

発生場所が浴室のタイル目地など、熱湯をかけても問題ない場所であれば有効です。ただし、フローリングや木材にかけると変形・変色の原因になるため、場所をよく選んでください。

 

【絶対NG】市販の殺虫スプレーをむやみに噴射する

これが最もやってはいけない応急処置です。殺虫スプレーをかけると、目の前の羽アリは死ぬかもしれません。

しかし、その薬剤を嫌がった巣の奥にいる大量のシロアリたちが、危険を察知して別の安全な場所へと移動を始めてしまいます。これにより、被害が建物全体に拡散してしまうリスクがあるのです。

また、業者が行う駆除作業の際に、シロアリの通り道(蟻道)が分からなくなり、原因特定を困難にさせてしまいます。

 

市販の殺虫剤や薬剤の効果と使い方

ドラッグストアなどでは、様々なシロアリ対策グッズが販売されています。しかし、これらの効果を過信するのは危険です。

 

ベイト剤(毒餌剤)

シロアリに毒の餌を食べさせ、巣に持ち帰らせて巣ごと駆除する薬剤です。効果は高いですが、シロアリが餌を食べるまでに時間がかかり、効果発現まで数ヶ月を要することもあります。

また、シロアリの通り道に正確に設置する必要があり、素人判断では効果的な設置が難しいです。

 

薬剤散布スプレー

木材に直接吹き付けて使用するものですが、効果は表面的なものに限られます。木材の内部にまで薬剤を浸透させることはできず、根本的な駆除には繋がりません。

結論として、市販薬だけで家全体のシロアリを完全に駆除することは、ほぼ不可能です。中途半端な対策は、時間とお金を無駄にするだけでなく、被害を深刻化させるリスクもあることを覚えておいてください。

 

駆除専門業者へ依頼すべきケースの判断基準

では、どのような状況になったら専門業者に依頼すべきなのでしょうか。答えは「少しでもシロアリの可能性があると感じたら」です。

■すぐに業者に連絡すべきケース

 ・見つけた羽アリが、どう見てもシロアリの特徴に当てはまる場合(1匹でも)

 ・家の中の特定の場所から羽アリが大量に発生している場合

 ・建物の基礎に「蟻道」を発見した場合

 ・床のきしみや沈み、柱の空洞音など、明らかな被害の症状がある場合

シロアリ被害は、時間との勝負です。発見が早ければ早いほど、建物のダメージも修繕費用も少なく済みます。迷っている時間はありません。ほとんどの専門業者は無料点検を実施していますので、まずはプロの目で正確な状況を診断してもらうことが最も賢明な選択です。

 

駆除後の再発防止・日常でできる予防対策

プロによる駆除後も、シロアリが寄り付きにくい環境を維持することが大切です。日頃から以下の点を心がけましょう。

 

・湿気対策:床下の換気扇を設置したり、定期的に窓を開けて家全体の風通しを良くしたりして、湿気を溜めないようにしましょう。水漏れや雨漏りは放置せず、速やかに修理することが重要です。

・建物の周りの環境整備:家の周りに古い木材や切り株、段ボールなどを放置しないようにしましょう。これらはシロアリの餌場や巣になります。

・ウッドデッキなどの管理:ウッドデッキやラティスなどの木製品が、直接地面に触れないように設置・管理しましょう。

・定期的なプロの点検:シロアリ駆除の薬剤効果は、一般的に5年間です。効果が切れる前に、定期的に専門家による点検を受けることが、再発を防ぐ最も確実な方法です。

 

羽アリ・シロアリ被害を防ぐためのプロの対策

プロの対策

シロアリ被害から大切な住まいを完全に、そして長期的に守るためには、やはり専門家による本格的な対策が不可欠です。プロが行う調査や工事は、市販薬とは全くレベルが異なります。

 

シロアリ駆除業者による調査と工事の流れ

信頼できる専門業者に依頼した場合、一般的に以下のような流れで調査・工事が進められます。

 

1.お問い合わせ・問診

羽アリの発生状況や建物の情報などを詳しくヒアリングします。

 

2.無料の現地調査

専門の診断員が訪問し、建物全体を徹底的に調査します。調査範囲は、建物外周、玄関、水回り、そして床下や屋根裏など、普段見ることのできない場所まで多岐にわたります。調査の様子は写真や動画で撮影し、依頼主にも分かりやすく状況を共有します。

 

3.調査結果の報告と見積もりの提出

撮影した写真などを見ながら、被害の状況、原因、必要な工事内容、そして詳細な見積もりについて、依頼主が納得するまで丁寧に説明します。

 

4.ご契約・工事日の決定

 

5.駆除・予防工事の実施

プロのシロアリ駆除工事には、主に2つの工法があります。

・バリア工法(薬剤散布):床下の木部や土壌全体に、専用の機材で薬剤を散布・注入します。これにより、シロアリが侵入できない強力なバリア層を形成します。即効性が高く、現在最も一般的な工法です。

・ベイト工法(毒餌設置):建物の周囲の土に、ベイト剤(毒餌)が入った容器を複数埋設します。働きアリがこれを巣に持ち帰ることで、巣全体を時間をかけて根絶やしにする工法です。薬剤を散布しないため、小さなお子様やペットがいるご家庭でも安心ですが、効果が出るまでに数ヶ月かかる場合があります。

 

6.保証書の発行・アフターフォロー:工事完了後、通常は5年間の保証書が発行されます。保証期間内にシロアリが再発した場合は、無料で再施工するなどの対応が受けられます。また、定期的な無料点検などのアフターフォローがあるかどうかも重要です。

 

業者選びと費用相場|無料点検の活用と注意点

シロアリ駆除は、業者によって技術力や費用が大きく異なります。後悔しない業者選びのために、以下のポイントを押さえましょう。

 

■信頼できる業者の選び方

 ・実績と資格:専門資格を持つスタッフが在籍しているか。

 ・詳細な見積書:「一式」ではなく、作業内容や使用薬剤、面積などが詳細に記載されているか。

 ・丁寧な説明:専門用語ばかりでなく、素人にも分かりやすく被害状況や工事内容を説明してくれるか。

 ・充実した保証:保証期間だけでなく、保証内容や適用条件を書面で明確に提示してくれるか。

 ・第三者の口コミ:会社のホームページだけでなく、Googleマップなどの口コミも参考にしましょう。

 

■費用相場

費用は建物の面積(㎡または坪)で算出されるのが一般的です。

 ・予防処理の単価:約2,000円~2,500円/㎡

 ・駆除処理の単価:約2,500円~3,500円/㎡

 (一般的な30坪の一軒家の場合、1階床面積が約50㎡とすると、予防で10万~13万円、駆除で13万~18万円程度が目安)

 

■無料点検の活用法と注意点

複数の業者(2~3社)に無料点検と見積もりを依頼し、提案内容や対応、費用を比較検討するのが最も賢い方法です。

ただし、点検後に過度な不安を煽り、その場で契約を迫るような悪質な業者も存在します。その場ですぐに契約せず、必ず家族と相談し、冷静に判断する時間を持つようにしてください。

 

防除・薬剤処理・定期メンテナンスの重要性

シロアリ対策は、一度駆除すれば終わり、というものではありません。プロが使用する薬剤の効果も、永遠に続くわけではなく、一般的に5年間とされています。この効果が切れてしまえば、再びシロアリが侵入してくるリスクが発生します。

大切な住まいを長期的に守るためには、薬剤の効果が切れる5年後を目安に、定期的な点検と再度の予防処理(メンテナンス)を行うことが不可欠です。

これは、人間が定期的に健康診断を受けるのと同じです。定期的なメンテナンスは、万が一の被害を未然に防ぎ、結果的に将来かかるであろう高額な修繕費用を抑える、最も経済的で賢明な住まいの維持管理方法なのです。

 

まとめ|羽アリとシロアリの違いへの理解と住宅の安全を守るために

羽アリとシロアリから住宅の安全を守る

今回は、羽アリとシロアリの決定的な見分け方から、万が一の際の正しい対処法、そして専門家による本格的な対策まで、網羅的に解説しました。

【羽アリとシロアリの見分け方 おさらい】

 ・胴体:くびれがなければ「シロアリ」

 ・羽:4枚とも同じ大きさなら「シロアリ」

 ・触角:数珠状でまっすぐなら「シロアリ」

家の中で羽アリを発見した時の衝撃と不安は計り知れません。しかし、それはあなたの住まいが発している重要なSOSサインかもしれません。そのサインを見逃さず、正しい知識を持って行動することが、被害の拡大を防ぐための鍵となります。

最も重要なことは、安易な自己判断や間違った応急処置で被害を拡散させず、少しでも「シロアリかもしれない」と感じたら、速やかに信頼できる専門家に相談することです。

私たち「いらか」は、屋根・外壁工事のプロフェッショナルとして、皆様の大切な住まいを様々な脅威から守るお手伝いをしています。

シロアリ被害の大きな原因となる雨漏りの調査・修理はもちろんのこと、建物の健康状態を総合的に診断し、お客様一人ひとりに最適な解決策をご提案します。

「この羽アリ、シロアリだろうか…」 「うちの家は大丈夫かな…」

そんな不安を抱えていらっしゃるなら、私たち「いらか」にご相談ください。誠心誠意サポートさせていただきます。

 

 

この記事を書いた人

成田 崇

  • 瓦ぶき2級技能士
  • 瓦屋根工事技士
  • 瓦屋根診断技士

【趣味】サーフィン・山登り・バックカントリースキー・読書・旅行

〇かわらぶき2級技能士とは?

瓦屋根工事に必要な知識と施工技術を備えていることを証する資格で、瓦職人にとって欠かせない国家資格です。 試験は学科試験と実技試験で構成されており、実技試験では実際に一文字軒瓦または万十軒瓦を使った瓦葺き作業を行い受験者の施工レベルを審査します。

〇瓦屋根工事技士とは?

国土交通大臣が認定する資格で屋根工事に従事する者として必要な瓦屋根についての適正な知識を備えていることを証する資格です。 この資格取得では屋根の施工に関する知識はもちろんのこと、建築に関わる知識、安全に関する知識、法規等、さまざまな知識が求められます。

〇瓦屋根診断技士とは?

国交省所管の公益法人(社)全日本瓦工事業連盟(全瓦連)が高い技術、技能を持つ工事技術者に対してのみ与える資格です。 この資格の取得条件はかわらぶき技能士と瓦屋根工事技士の両方の資格を備えた者となっており、国内の瓦屋根工事技術者における最上位資格といえます。