2025年09月11日
DIYでスレート屋根修理はできる?
自分で屋根を直したいと思ったら
自宅の屋根に不具合が出たとき、
「ちょっとした割れなら自分で直せるのでは」と考える方は少なくありません。
特にスレート屋根は薄い板状のため、
割れや欠けが目立ちやすく、
DIYで修理しようと屋根に登るケースがよく見られます。
しかし、
結論から言えばスレート屋根のDIY修理は非常に危険であり、
あまりおすすめはできません。
屋根に登るリスク
2階建ての住宅で屋根に登る行為は、
それ自体が大きなリスクを伴います。
- 転落による大事故の危険
- 勾配(屋根の角度)が急なほど足を滑らせやすい
- 経年劣化したスレートは表面が粉を吹いており、
わずかに踏み込んだだけで滑りやすい
実際、
屋根からの転落事故は建築業界でも最も多い労災の一つです。
大工や屋根職人といった経験者ならまだしも、
一般の方が屋根に上がるのは極めて危険だと言えます。
部分修理の難しさ
スレート屋根の割れを部分的に差し替える作業は、
見た目以上に難易度が高いものです。
割れたスレートを引き抜くには、
周囲の屋根材を持ち上げながら釘を外す必要があり、
非常に手間がかかります。さらに無理な作業をすれば、
かえって周囲のスレートまで割ってしまうリスクもあります。
応急処置の選択肢
「どうしてもDIYで対応したい」という場合には、
既存のスレートを無理に交換するのではなく、補修用の商品を利用するのがおすすめです。
たとえば 「kmewリコロニー」 のようなスレート補修材は、
割れた部分の上から貼ることで雨水の侵入を防ぐことができます。根本的な交換ではありませんが、
応急処置としては有効です。
ただし、この場合も「屋根に登ること自体が危険」という点は変わりません。
1階の屋根で勾配が緩やかであればまだしも、
2階以上や急勾配の屋根でのDIYは避けるべきです。
まとめ:DIYは“できる”が“おすすめできない”
スレート屋根の修理は、
理屈の上ではDIYで可能です。しかし実際には…
- 高所作業の危険性が大きい
- 部分交換の難易度が高い
- 誤った施工で逆に雨漏りを招くことがある
といったリスクを抱えています。
応急処置として補修材を使うのは一つの手ですが、根本的な修理は専門業者に依頼するのが安全かつ確実です。屋根は住まいを守る最前線です。無理をせず、長期的な安心につながる方法を選んでいただければと思います。

この記事を書いた人
成田 崇
- 瓦ぶき2級技能士
- 瓦屋根工事技士
- 瓦屋根診断技士
【趣味】サーフィン・山登り・バックカントリースキー・読書・旅行
〇かわらぶき2級技能士とは?
瓦屋根工事に必要な知識と施工技術を備えていることを証する資格で、瓦職人にとって欠かせない国家資格です。 試験は学科試験と実技試験で構成されており、実技試験では実際に一文字軒瓦または万十軒瓦を使った瓦葺き作業を行い受験者の施工レベルを審査します。
〇瓦屋根工事技士とは?
国土交通大臣が認定する資格で屋根工事に従事する者として必要な瓦屋根についての適正な知識を備えていることを証する資格です。 この資格取得では屋根の施工に関する知識はもちろんのこと、建築に関わる知識、安全に関する知識、法規等、さまざまな知識が求められます。
〇瓦屋根診断技士とは?
国交省所管の公益法人(社)全日本瓦工事業連盟(全瓦連)が高い技術、技能を持つ工事技術者に対してのみ与える資格です。 この資格の取得条件はかわらぶき技能士と瓦屋根工事技士の両方の資格を備えた者となっており、国内の瓦屋根工事技術者における最上位資格といえます。