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DIYでスレート屋根修理はできる?|平塚・株式会社いらか|屋根専門

DIYでスレート屋根修理はできる?

自分で屋根を直したいと思ったら

自宅の屋根に不具合が出たとき、
「ちょっとした割れなら自分で直せるのでは」と考える方は少なくありません。

特にスレート屋根は薄い板状のため、
割れや欠けが目立ちやすく、
DIYで修理しようと屋根に登るケースがよく見られます。

しかし、
結論から言えばスレート屋根のDIY修理は非常に危険であり、
あまりおすすめはできません。

屋根に登るリスク

2階建ての住宅で屋根に登る行為は、
それ自体が大きなリスクを伴います。

  • 転落による大事故の危険
  • 勾配(屋根の角度)が急なほど足を滑らせやすい
  • 経年劣化したスレートは表面が粉を吹いており、
    わずかに踏み込んだだけで滑りやすい

実際、
屋根からの転落事故は建築業界でも最も多い労災の一つです。

大工や屋根職人といった経験者ならまだしも、
一般の方が屋根に上がるのは極めて危険だと言えます。

部分修理の難しさ

スレート屋根の割れを部分的に差し替える作業は、
見た目以上に難易度が高いものです。
割れたスレートを引き抜くには、
周囲の屋根材を持ち上げながら釘を外す必要があり、
非常に手間がかかります。さらに無理な作業をすれば、
かえって周囲のスレートまで割ってしまうリスクもあります。

応急処置の選択肢

「どうしてもDIYで対応したい」という場合には、
既存のスレートを無理に交換するのではなく、補修用の商品を利用するのがおすすめです。

たとえば 「kmewリコロニー」 のようなスレート補修材は、
割れた部分の上から貼ることで雨水の侵入を防ぐことができます。根本的な交換ではありませんが、
応急処置としては有効です。

ただし、この場合も「屋根に登ること自体が危険」という点は変わりません。
1階の屋根で勾配が緩やかであればまだしも、
2階以上や急勾配の屋根でのDIYは避けるべきです。

まとめ:DIYは“できる”が“おすすめできない”

スレート屋根の修理は、
理屈の上ではDIYで可能です。しかし実際には…

  • 高所作業の危険性が大きい
  • 部分交換の難易度が高い
  • 誤った施工で逆に雨漏りを招くことがある

といったリスクを抱えています。

応急処置として補修材を使うのは一つの手ですが、根本的な修理は専門業者に依頼するのが安全かつ確実です。屋根は住まいを守る最前線です。無理をせず、長期的な安心につながる方法を選んでいただければと思います。


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この記事を書いた人

成田 崇

  • 瓦ぶき2級技能士
  • 瓦屋根工事技士
  • 瓦屋根診断技士

【趣味】サーフィン・山登り・バックカントリースキー・読書・旅行

〇かわらぶき2級技能士とは?

瓦屋根工事に必要な知識と施工技術を備えていることを証する資格で、瓦職人にとって欠かせない国家資格です。 試験は学科試験と実技試験で構成されており、実技試験では実際に一文字軒瓦または万十軒瓦を使った瓦葺き作業を行い受験者の施工レベルを審査します。

〇瓦屋根工事技士とは?

国土交通大臣が認定する資格で屋根工事に従事する者として必要な瓦屋根についての適正な知識を備えていることを証する資格です。 この資格取得では屋根の施工に関する知識はもちろんのこと、建築に関わる知識、安全に関する知識、法規等、さまざまな知識が求められます。

〇瓦屋根診断技士とは?

国交省所管の公益法人(社)全日本瓦工事業連盟(全瓦連)が高い技術、技能を持つ工事技術者に対してのみ与える資格です。 この資格の取得条件はかわらぶき技能士と瓦屋根工事技士の両方の資格を備えた者となっており、国内の瓦屋根工事技術者における最上位資格といえます。

新築で選ぶべき屋根材は?|平塚・株式会社いらか|屋根専門

新築で選ぶべき屋根材は?

「新築住宅を建てるなら、どの屋根材が一番良いですか?」

お客様からそう尋ねられたとき、
私が即答するのは
その中でも特に平板瓦(へいばんがわら)です。

瓦というと、
昔ながらの和風住宅に使われている「和瓦」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし近年主流になっているのは、
シンプルでモダンなデザインの平板瓦です。
洋風住宅や現代的なデザイン住宅にも違和感なく馴染み、実用性と美観を兼ね備えた屋根材として高い評価を得ています。

では、なぜ平板瓦が「最強」と言えるのでしょうか。

瓦の大きな強み:耐久性

まず何よりも瓦の強みは圧倒的な耐久性にあります。
スレートや金属屋根が20〜30年程度で葺き替えやカバー工法を必要とするのに対し、
瓦は50年、場合によっては100年近く使えるケースも少なくありません。

瓦自体は粘土を高温で焼き上げて作られるため、
紫外線や雨風による劣化がほとんどなく、
色あせや錆びの心配もありません。
メンテナンス費用がほとんどかからない点は、長期的に見れば非常に大きなメリットです。

平板瓦のメリット①:施工性とコスト

「瓦は高い」と思われがちですが、
平板瓦については必ずしもそうではありません。
和瓦は縦方向に一枚一枚葺いていく必要があり、
熟練した職人の技術が求められます。これが工期や施工費を押し上げる要因でした。

一方、平板瓦は横方向に施工する「横葺き」が基本で、
スレートや金属屋根と同じような感覚で工事ができます。
そのため施工できる職人の数も多く、
ハウスメーカーでも標準仕様として採用されるほど普及しています。
結果として、施工費用は想像ほど高額にならず、他の屋根材と比較しても十分競争力があります。

平板瓦のメリット②:断熱性・遮音性

瓦のもう一つの強みは断熱性と遮音性です。
瓦屋根は、
ルーフィング(防水シート)と瓦の間に「桟木(さんぎ)」という部材を設け、
瓦を少し浮かせて施工します。
この空間が自然な「空気層」となり、
夏の暑さや冬の寒さをやわらげ、さらに雨音を吸収する役割を果たします。

スレートや金属屋根にはない、
この独特の空気層こそが、瓦屋根特有の快適さを生み出しているのです。

平板瓦のメリット③:デザイン性と普及性

平板瓦はシンプルでフラットな形状をしており、
現代建築に非常にマッチします。
洋風住宅にもモダンな和風住宅にも調和し、
「瓦=古い」というイメージを払拭しました。
カラーバリエーションも豊富で、外壁や街並みに合わせて選べるのも魅力です。

また、普及が進んだことで対応できる職人も多く、
施工体制が安定しているのも大きな強みです。

日本の風土に最適な屋根材

瓦はもともと日本の気候風土に合わせて発展してきた屋根材です。
高温多湿で雨が多く、
台風や地震といった自然災害も多い日本において、
耐久性・遮音性・断熱性を兼ね備えた瓦は、非常に合理的な選択肢と言えます。

とりわけ平板瓦は「日本の伝統」と「現代建築」の両方に対応できる屋根材として、
これからますます存在感を増していくでしょう。

まとめ:平板瓦最強説

スレートや金属屋根と比べても、平板瓦は…

  • 長期的な耐久性に優れている
  • 断熱・遮音性が高く快適
  • 施工しやすく普及しており、価格も思ったほど高くない
  • デザイン性も高く、現代住宅に調和する

これらの理由から、
総合的に見て最もバランスの取れた屋根材だと考えています。

もし日本全国の住宅がすべて平板瓦になってしまったら、
屋根の修繕需要は大きく減ってしまうかもしれません。
それほどまでに耐久性と安心感に優れた屋根材――それが「平板瓦」なのです。


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成田 崇

  • 瓦ぶき2級技能士
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瓦屋根工事に必要な知識と施工技術を備えていることを証する資格で、瓦職人にとって欠かせない国家資格です。 試験は学科試験と実技試験で構成されており、実技試験では実際に一文字軒瓦または万十軒瓦を使った瓦葺き作業を行い受験者の施工レベルを審査します。

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国土交通大臣が認定する資格で屋根工事に従事する者として必要な瓦屋根についての適正な知識を備えていることを証する資格です。 この資格取得では屋根の施工に関する知識はもちろんのこと、建築に関わる知識、安全に関する知識、法規等、さまざまな知識が求められます。

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新築時に軽んじられている屋根の選択|平塚・株式会社いらか|屋根専門

新築時に軽んじられている屋根の選択

屋根を意識する人は少ない

新築住宅を建てるとき、
屋根について真剣に検討される方はどれほどいるでしょうか。
おそらくほとんどの方は
「営業担当者に勧められるまま」「標準仕様のまま」で選んでいるのが現実です。

理由はシンプルです。
屋根は外から見えにくく、
デザインや設備のように「日常的に目に入る部分」ではないため、
優先順位が下がってしまうのです。
さらに「屋根材による差が生活にどう影響するのか」が実感しにくいため、
価格や見た目だけで判断されがちです。

しかし、
家を長く安心して使うためにこそ、
屋根の選択はとても重要な要素となります。

スレート屋根の現実

現在、
新築住宅の多くで採用されているのがスレート屋根です。
ハウスメーカーの営業担当者に勧められるまま、
特に疑問を持たずに選ぶケースが大半です。

スレートはセメントを主成分とした厚さ5.5mmほどの屋根材で、
軽量かつ施工が容易であることから普及しました。
しかし、
その反面「割れやすく脆い」という弱点を抱えています。
紫外線や風雨による劣化も避けられず、
年月とともにメンテナンスが不可欠となります。

劣化が進めば「葺き替え」や「カバー工法」といった大規模修繕が必要になり、
その費用は150万円から300万円程度が一般的です。

将来の大きな修繕コスト

新築時には屋根にあまり意識が向かないため、
つい「標準仕様=スレート」で済ませてしまいがちです。
確かに初期費用は安く済みますが、20年〜30年後には高額な修繕工事がほぼ必ず待っています。

一方で、
新築時に金属屋根や瓦屋根といった耐久性の高い屋根材を選んだ場合、
初期費用は30万〜50万円程度上がるかもしれません。

しかしその選択によって、
将来的に数百万円規模の修繕工事を回避できる可能性があります。

つまり、
「安い屋根を選んだつもりが、長期的には最も高くつく」という逆転現象が起こっているのです。

設備と屋根の違い

住宅の中の設備や内装に関しては、
選択を誤っても数十万円〜100万円程度の差で済むことが多いでしょう。

しかし屋根材の選択ひとつで、
20年後・30年後に300万円もの差が生じることがあります。

これは他の設備にはない大きな特徴であり、
「屋根選びは家の生涯コストを大きく左右する要素」だと言えます。

まとめ:新築時こそ屋根を真剣に

家を長く住み続けることを考えるのであれば、
スレート屋根は決して「安くてお得な屋根」ではありません。
むしろ、長期的に見れば最もコストがかかる選択肢と言えます。

新築時にわずか数十万円の追加費用をかけて、
耐久性の高い屋根材を選ぶことで、
20年後・30年後に数百万円の修繕を避けられる可能性があります。

屋根は普段あまり目にすることがないため、
軽んじられがちな存在です。

ですが、家を守る最前線であり、
暮らしの安心とコストに直結する部分でもあります。

ぜひ新築住宅を建てる際には、
デザインや間取り、設備だけでなく「屋根材の選択」にも目を向け、
長期的な視点で最適な選択をしていただきたいと思います。


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成田 崇

  • 瓦ぶき2級技能士
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〇かわらぶき2級技能士とは?

瓦屋根工事に必要な知識と施工技術を備えていることを証する資格で、瓦職人にとって欠かせない国家資格です。 試験は学科試験と実技試験で構成されており、実技試験では実際に一文字軒瓦または万十軒瓦を使った瓦葺き作業を行い受験者の施工レベルを審査します。

〇瓦屋根工事技士とは?

国土交通大臣が認定する資格で屋根工事に従事する者として必要な瓦屋根についての適正な知識を備えていることを証する資格です。 この資格取得では屋根の施工に関する知識はもちろんのこと、建築に関わる知識、安全に関する知識、法規等、さまざまな知識が求められます。

〇瓦屋根診断技士とは?

国交省所管の公益法人(社)全日本瓦工事業連盟(全瓦連)が高い技術、技能を持つ工事技術者に対してのみ与える資格です。 この資格の取得条件はかわらぶき技能士と瓦屋根工事技士の両方の資格を備えた者となっており、国内の瓦屋根工事技術者における最上位資格といえます。

スレート屋根に塗装は必要か? ― 屋根塗装不要論|平塚・株式会社いらか|屋根専門

スレート屋根に塗装は必要か? ― 屋根塗装不要論

多くの方が「外壁塗装は10年に1度」という目安を聞いたことがあるのではないでしょうか。

そしてそのタイミングで、
外壁と一緒に「屋根も塗装しておきましょう」と提案を受けるケースが非常に多いのが実情です。

しかし結論から申し上げると、スレート屋根における塗装は基本的に不要です。
むしろ、
無理に塗装をしたことで不具合を招き、
雨漏りに発展してしまった住宅も少なくありません。

ではなぜ「スレート屋根の塗装は不要」と言えるのでしょうか。

スレート屋根とは?

スレート屋根は、
セメントを主成分とした板状の屋根材で、
日本の住宅で最も多く採用されてきた屋根材のひとつです。
軽量で施工がしやすく、
価格も手頃なため普及しました。
代表的なメーカーは ケイミュー(KMEW) で、多くの住宅でその製品が使われています。

見た目は塗装仕上げのため、どうしても「塗装で性能を保つもの」というイメージを持たれがちです。しかし実際にはそうではありません。

メーカーの施工マニュアルが示すこと

スレート屋根の代表的な製造元であるケイミュー社が発行している、
施工業者向けのマニュアルにははっきりとこう書かれています。

  • スレート屋根材に塗装は不要
  • 表面に塗膜があろうとなかろうと、内部に水が浸透することはない

つまり、塗装をしたからといって防水性能が高まるわけではなく、雨漏りを防げるわけでもないのです。
塗装による効用は、
美観の回復や色替えといった「見た目のリフレッシュ」に限られます。

スレート塗装が不要な理由

  1. 防水性が塗装に依存していない
    → スレートはもともと素材自体に雨水が染み込まない構造になっています。
  2. 雨漏り防止には無関係
    → 雨漏りの原因は屋根材ではなく、その下の「ルーフィング(防水シート)」の劣化が大半です。スレートの塗装ではそこを改善できません。
  3. 性能向上にはつながらない
    → 撥水性を期待して塗っても一時的なもので、
    屋根全体の寿命を延ばす効果はありません。

それでも塗装する意味があるケース

スレート屋根の塗装がまったく無意味かと言えば、そうではありません。

  • 店舗や事務所などで外観イメージを一新したい
  • 色あせが気になり、見た目をきれいにしたい
  • 周囲の景観やデザインに合わせたい

こうした「美観上の理由」や「雰囲気を変えるため」の塗装であれば、十分に意味があります。

誤った塗装のリスク

問題は、「塗装すれば屋根が長持ちする」と誤解してしまうことです。

実際に現場では、適切でない塗装が行われたために…

  • スレートの重なり部分が塗料で塞がれてしまい、内部に水が滞留
  • 結果として雨漏りや腐食が発生

という事例が数多く見られます。
塗装自体が悪いのではなく、
「本来不要な場所に、誤った施工をしてしまう」ことが問題なのです。

塗装費用は別の工事に回すべき

スレート屋根の塗装にかかる費用は、一般的に20万~30万円程度。
その金額をもし別の工事に回せたらどうでしょうか。

  • 雨漏りの根本を防ぐ「谷板金」の交換
  • 劣化しやすい「雨樋(とい)」の交換
  • 下地材やルーフィングの点検・補修

こうした工事に充てる方が、
住まいにとってよほど有益です。

まとめ:屋根塗装不要論

屋根リフォーム業界では「外壁と一緒に屋根も塗りましょう」と勧められることが多くあります。
しかし、少なくともスレート屋根に関しては、塗装は不要です。

  • 塗装で雨漏りは防げない
  • 耐久性向上にもならない
  • 美観目的ならOK
  • 費用は他のメンテナンスに回した方が有益

大切なのは「見た目ではなく、本当に家を守る部分に投資すること」。
屋根塗装の提案を受けた際には
「それは美観目的なのか? それとも耐久性のためなのか?」と一度立ち止まって考えてみてください。


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瓦屋根工事に必要な知識と施工技術を備えていることを証する資格で、瓦職人にとって欠かせない国家資格です。 試験は学科試験と実技試験で構成されており、実技試験では実際に一文字軒瓦または万十軒瓦を使った瓦葺き作業を行い受験者の施工レベルを審査します。

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国土交通大臣が認定する資格で屋根工事に従事する者として必要な瓦屋根についての適正な知識を備えていることを証する資格です。 この資格取得では屋根の施工に関する知識はもちろんのこと、建築に関わる知識、安全に関する知識、法規等、さまざまな知識が求められます。

〇瓦屋根診断技士とは?

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屋根材だけで選んでいませんか? 屋根リフォームの落とし穴|平塚・株式会社いらか|屋根専門
成田崇
成田崇

屋根材だけで選んでいませんか?

屋根リフォームの落とし穴

屋根リフォームを検討する際、お客様が最も気にされるのは「屋根材」と「金額」です。

瓦にするか、金属にするか、スレートにするか。
耐久性やデザイン、
そして予算。

この2点は確かに屋根リフォームにおいて大きな比重を占める要素であり、
無視することはできません。

しかし、それだけで判断してしまうのは非常に危険です。
なぜなら、
屋根は「どんな屋根材を選ぶか」だけでなく「誰が、どのように施工するか」
で寿命も安心も大きく変わってしまうからです。

屋根施工の様子

施工品質が家を守る

仮に同じ屋根材を使ったとしても、
経験豊富な職人が正しく施工した場合と、
未熟な施工者が工事した場合とでは、仕上がりや耐久性はまるで違います。

いくら高価で優れた屋根材を選んでも、
施工の質が低ければ本来の性能を発揮できず、
数年で不具合や雨漏りを起こしてしまうこともあります。

では、施工品質を見極めるために、
お客様ができるチェックポイントはどこにあるのでしょうか。

資格の有無を確認する

一つの目安となるのが「資格」です。
屋根業界には大きく分けて「板金系」と「瓦系」の業者があり、
それぞれに専門資格があります。

たとえば「一級建築板金技能士」「瓦屋根工事技士」などです。
こうした資格を持つ技術者が社内に一人もいない会社は、
施工品質への意識が十分でない可能性が高いと言えます。

資格がすべてではありませんが、
少なくとも「基礎的な技術力を担保する目安」にはなります。
工事を依頼する前に、
資格保持者が在籍しているかを確認することをおすすめします。

事業年数と専門性

もう一つ大切なのが、
会社の歴史と専門性です。創業して間もない会社や、
もともと塗装専門だったのに最近になって屋根工事に手を広げた会社などもあります。

もちろん新しい会社が全て悪いわけではありませんが、
施工実績や経験が浅い場合、品質にムラが出やすいのも事実です。

特に屋根工事は、
木造住宅の構造や雨仕舞に精通していないと正しい納まりができません。

屋根を専門に長年取り組んできた会社かどうか、
事業年数や実績を一つの判断基準にしてみると良いでしょう。

屋根専門会社の実態

実は、お客様が直接依頼できる「屋根専門会社」は意外に少数派です。
多くの屋根工事は、工務店やハウスメーカーの下請けとして専門業者が施工しています。

そのため、
消費者の目に見えるのは工務店やリフォーム会社であり、
実際に施工を担う専門職人の存在は表に出にくいのです。

だからこそ「直接屋根専門会社に依頼できるかどうか」は大きなポイントになります。
中間マージンを省けるだけでなく、施工者と直接やりとりできる安心感もあります。

下地材と施工マニュアルの重要性

屋根リフォームでは、
屋根材ばかりに目が行きがちですが、
実は「下地」に使う板金部材や防水処理も非常に重要です。

雨水の侵入を防ぐ谷板金や軒先の水切りなど、
細部の納まりが適切でないと、
いくら高性能な屋根材を使っても雨漏りのリスクは高まります。

さらに、メーカーが定める施工マニュアルに沿って工事がされているかどうかも重要です。

屋根材の保証は「指定通りの施工」が前提になっており、
もし施工が不適切だと「保証の対象外」とされることがあります。

つまり、
どれだけ長期保証がついた屋根材を選んでも、施工や下地が不十分なら保証すら受けられない可能性があるのです。

まとめ:屋根材だけで選ばない

屋根リフォームは「屋根材と金額」で選ぶ方がほとんどですが、
それはあくまで一部に過ぎません。

  • 資格を持つ職人がいるか
  • 事業年数や専門性があるか
  • 下地材や施工マニュアルを守っているか
  • 保証が正しく適用される環境を整えているか

こうした点をチェックすることで、
屋根材本来の性能を活かし、長持ちする屋根を実現できます。

屋根は「見えないからこそ、後から差が出る部分」です。
ぜひ屋根材のブランドや価格だけでなく、施工品質や業者の姿勢にまで目を向けて、
安心できるリフォームを選んでください。


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瓦屋根工事に必要な知識と施工技術を備えていることを証する資格で、瓦職人にとって欠かせない国家資格です。 試験は学科試験と実技試験で構成されており、実技試験では実際に一文字軒瓦または万十軒瓦を使った瓦葺き作業を行い受験者の施工レベルを審査します。

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防水シート(ルーフィング)の重要性について 見えない場所こそ屋根の要|平塚・株式会社いらか|屋根専門

防水シート(ルーフィング)の重要性について 見えない場所こそ屋根の要


見えない場所こそ屋根の要

屋根からの雨漏り――住まいにとって最も避けたいトラブルのひとつです。
その原因の多くが「ルーフィング(防水シート)」にあることをご存じでしょうか。

屋根工事を行う際、お客様が注目されるのは、どうしても「仕上げとして目に見える屋根材」と「工事金額」に偏りがちです。
瓦か金属か、色やデザインはどうか、そして予算はいくらか。

これらは確かに大切な要素ですが、その下に隠れてしまう「ルーフィング」について積極的に質問される方は、実際にはごく少数に限られます。
しかし、屋根の寿命を左右する最大のポイントは、この“見えない存在”であるルーフィングにあるのです。

屋根は二重構造で雨を守る

屋根は大きく分けて二層構造になっています。

  1. 仕上げ材(瓦、スレート、金属など)
  2. ルーフィング(防水シート)

外から見えているのは仕上げ材だけですが、実際に「雨水を家に入れない最後の砦」となるのはルーフィングです。

極端な例を挙げれば、屋根材が多少傷んでいても、ルーフィングが健全であれば雨漏りは起きません。それほどルーフィングは重要な役割を担っています。

ところが一度施工が終わってしまうとルーフィングは外から確認することができません。20年、30年と年月が経ち、初めて雨漏りという形でその存在が浮き彫りになります。

ルーフィング施工の様子

ルーフィングの種類と特徴

現在、ルーフィングは大きく二種類に分類されます。

① 紙芯タイプ

芯材が「紙」で作られているもっとも一般的なタイプです。新築住宅で広く使われており、コストが安いのが特徴です。
施工直後は問題ありませんが、年数が経過すると紙が湿気や荷重に耐えられず、破れやすくなってしまう欠点があります。特に屋根の重なり部分や釘が効いている部分から劣化が進み、やがてそこから雨水が侵入してしまいます。

② 不織布タイプ

一方で、不織布を芯材としたタイプもあります。マスクやフィルターのような繊維素材でできており、耐久性に優れています。
引っ張りや曲げに強く、経年劣化しても破れにくいため、長期間にわたり防水性能を発揮します。

しかし、現在市場に流通しているルーフィングの半分以上はいまだに紙芯タイプであり、不織布タイプを採用している現場は少数派です。理由は単純で、施工会社が「安価な方」を選ぶことが多く、施主側もルーフィングにまで関心を持つ方が少ないためです。

雨漏りと費用の現実

実際に私たちが雨漏り調査に伺うと、原因のほとんどがルーフィングの劣化です。屋根材そのものはまだ使える状態でも、内部の防水シートが破れているために雨水が侵入し、天井や壁にシミをつくってしまいます。

この修繕費用は決して安くありません。雨漏り補修や屋根の葺き替えとなれば、200万円から300万円といったまとまった金額が必要になるケースも多々あります。

一方で、工事の段階でルーフィングを「紙芯タイプから不織布タイプへ」グレードアップしても、その費用差はせいぜい10万円前後。将来的に数百万円の修繕を避けられることを考えると、この差は“投資”と言ってよいレベルです。

つまり、ルーフィングに少しこだわるだけで、長期的な安心と大きなコスト削減につながるのです。

なぜ関心が持たれにくいのか

お客様がルーフィングに目を向けない背景には、いくつかの理由があります。

  1. 完工後は見えなくなってしまう
  2. 営業担当者自身が十分に理解していない
  3. 新築直後は雨漏りが起きにくいため、必要性が実感されない

これらの要因から、どうしても屋根材や外観デザインばかりが重視され、防水シートは“見えない存在”として後回しにされがちです。

しかし、20年、30年と時が経つにつれ、この差は歴然と表れてきます。

ルーフィング施工後

紙芯ルーフィングを選んだ家と、不織布ルーフィングを選んだ家とでは、メンテナンスコストも住まいの寿命も大きく変わってしまうのです。

まとめ:見えない部分にこそ価値を

屋根工事を検討する際、多くの方が外観や金額に注目されます。もちろんそれも大事ですが、「見えない部分=ルーフィング」にこそ、本当の安心と価値が隠されています。

屋根材は雨を受け止める表層、ルーフィングは最後に家を守る盾。この二重構造の理解を持っていただければ、工事内容の判断基準も大きく変わるはずです。

たった数万円から十数万円の差で、数十年後の暮らしを守ることができます。ぜひ屋根工事を検討される際には、仕上げ材だけでなく「ルーフィング防水シート」にも目を向けていただきたいと思います。


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〇瓦屋根工事技士とは?

国土交通大臣が認定する資格で屋根工事に従事する者として必要な瓦屋根についての適正な知識を備えていることを証する資格です。 この資格取得では屋根の施工に関する知識はもちろんのこと、建築に関わる知識、安全に関する知識、法規等、さまざまな知識が求められます。

〇瓦屋根診断技士とは?

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